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【書評】森見登美彦さんの作品に触れて

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後悔先に立たずとはよく言ったものですが、私はあまり小説を読みません。

幼少期、父親が読書家だった私の実家には数千冊の小説が並んでおり、読もうと思えばいつでも読める環境にはありました。
しかしながら、結局息子が読書家になることはありませんでした。
家に本が〇冊以上あると子供の思考能力が上がるといった調査、あれが自分に当てはまらないのが嘆かわしい。
とはいえ1冊も読んだことがないというわけではなく、数ある娯楽の中からあえて小説を手に取る機会が少なかったのだと思います。
漫画のほうが圧倒的長時間接触しているので、絵があったほうが私の脳には易しいのでしょうか。
そういえば、予備校時代の恩師が「漫画の読み方が分からない」と言っていて笑いました。
文字と絵のどっちを見ればいいのか分からない・・・ってマジすか。
その考え方が分かりません・・・。

いずれにせよ、人生ここまで小説の読み方を知らずに来てしまいました。
人を惹きつける「ストーリー」について何も知らずに、ストーリーテリングなどと言っても誰も見向きもしないでしょう。
「今からでも遅くない」そう思ってチャレンジするしかない状況がこれまた残念ではありますが、小説に触れてみた感想を書いてみようと思いました。

とはいえ、今から自分なりに好みの小説に出会うには、世の中の小説の数が多すぎます。

ここは人の力を借りよう。

ここのところ自分史上この上ない異例なスピードで小説を読んでいる理由は、会社の先輩が出勤時間は小説を読んでいると聞いたからです。
クリエイティブの最前線で戦われてきた先輩はどんな小説を好んで読んでいるのか?

その先輩に勧められた小説が以下。
今回はすべて森見登美彦さんの作品です。

◆恋文
◆新釈走れメロス
◆きつねのはなし

やはり読書も経験則なのでしょうか。
最近少し、本を読み慣れてきました。
とはいえ50ページあたり30分かかる遅読ですが。

では早速、小説を読んだ感想を。

◆恋文

「書簡集」というジャンルは初めてでした。

送り手の文面のみで構成されており返事の内容は文脈をたどるしかない。
思い人への恋文に苦悩する主人公は伝えたい思いばかりで伝わらないメッセージを量産してしまう。
「伝える」ことの難しさを改めて痛感する物語です。
元ネタの分からない歯がゆさも・・・。
これは読み手の知識不足ですね。
また、京都・能登の情景が浮かぶようで旅行に出かけたくなりました。
森見登美彦さんは情景描写に定評のある作家さんでもあるようですね。
ちなみに作中の文通数は全部で108でした。・・・煩悩?
手紙を書くという機会は私にはあまりありませんが「伝える」というコミュニケーションの重要性を思い知らされました。
私も伝わる文章目指して精進致します。

◆新釈走れメロス

パロディしているのは下記の5作品です。

山月記/藪の中/走れメロス/桜の森の満開の下/百物語

私は【走れメロス】以外の作品を全く知らずに読みましたが、初見でも面白かったです。
勢いで原典すべて読みました。
元ネタは時代も作家も全く異なる作品ですが、作中では大胆に関連付けています。
森見さんの作品ごとに関係図が埋まっていくような感覚は気持ちがいいですね。
1枚の大きな地図を色々な角度から切り抜いているような。
思っていた10倍くらい脚色されていて、正直パロディって何だろう?と振り返らずにはいられませんでした。
改めて表現の自由さに気づかせてくれる作品でした。
私も自分なりの表現ができるよう精進致します。

◆きつねのはなし

作品は以下の4篇で構成されています。

きつねのはなし/果実の中の龍/魔/水神

それぞれに感じたメッセージは異なりますが、舞台設定が一枚の地図に収束していくような構成は変わらず面白かったです。
それぞれの物語で私なりに感じたメッセージは以下です。
・きつねのはなし→「小さな問題」を放置するとやがて抱えきれなくなる。
・果実の中の龍→「嘘」は雄弁なコミュニケーションツールかもしれない。
・魔→「思想を持って取り組んでいる事」ほど主観に捉われているのでは。
・水神→期待とは裏腹に「実態」はいつもキツネにつままれたようなもの。
どれも読んで心がチクチクする話でした。
なんとなく自分に重ねるキャラクターがいるとホラー映画のような怖さすらありますね。
水神だけきつね要素が薄いのは気のせいでしょうか?
私も届くメッセージを文章に込めることができるよう精進致します。

そもそも小説を読む理由とは何でしょうか?

前述の先輩は「気分を変えたいときに気分に合った小説を読む」と言っていました。
泣ける映画や頑張れる音楽のようなものでしょうか?
また、手元に置く理由は「子供が本に興味を示してくれたら」とのこと。
我が家の実績についてはお伝えしておきました。

人それぞれかと思いますが、私が小説を読む理由は「表現の勉強とストーリーの解釈」です。

どうしても動画にフォーカスしがちですね。

今後もそういった切り口から楽しんで小説を読んでいこうと思います。
場面設定やカメラポジションなど考えながら読むのは面白いです。

迫りくる動画の時代に快適な映像LIFEを

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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